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内部監査で考えさせられた品質目標設定時期と品質目標の進捗管理

内部監査で考えさせられた品質目標設定時期と品質目標の進捗管理 内部監査の活用と監査員教育

内部監査で部署品質目標の進捗を確認した際、規定では期初に品質目標を設定することになっていますが、実際には次の様な運用をしている場合があります。

例えば年度の営業予算達成を年間目標とし、予算を12か月均等割ではなく、毎月の実績から目標や活動内容を変更し最終的に年間目標を達成する運用をしている場合があります。

この場合、「ルール(規定)通りではない。」と指摘することもできますが、部署目標の進捗管理についてヒアリングすると次のような運用をしていることがあります。

  • 期初に各月の目標を設定することが現実的に無理である。
  • 各月の実績により翌月以降の活動を変更したり目標値を修正することで期の目標を達成できている。

この場合、期の年間目標達成をするための目標設定や進捗管理をしていることになります。

前置きが長くなりましたが、ここでは、品質目標の設定時期について考えてみます。

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このブログで公開している品質マニュアルでの品質目標管理

このブログで紹介している品質マニュアルでは、

  • 品質方針と品質目標をもとに、各部署で部署の品質方針と品質目標

を設定しています。

また、品質方針、品質目標についての見直しや設定のスケジュールは、次のようにしています。

  • 期末:マネジメントレビューによる全社品質方針と品質目標の決定
  • 期初:全社品質方針と目標を受けて、部署品質目標を設定

この際、前期部署品質目標の達成状況を考慮して、今期の部署品質目標を設定します。

部署長は、品質目標達成のため力量マップにより所属メンバーの力量を評価、把握して、部署品質目標達成に必要な教育・訓練計画を作成します。

実際にこの通り運用されているのであればよいのですが、次の様なケースがあります。

  • 前期の決算が確定するのが次の期(今期)にずれ込む。
  • 前期末のマネジメントレビューのアウトプットの判断が先送りになる。

このため、

  • 期初は全社品質方針と目標目標に大きな変更はないとの前提で、今期の部署品質目標を設定し、今期のISO活動を開始する。

ISO事務局としては、なんともすっきりしないが致し方ないです。

これは、「マネジメントレビューのアウトプット(指示)を、決算が出てから行う。」ということが原因だと考えていますが、マネジメントレビューは社長以外にはできないことでもあるのでどうにもならないことでもあります。

この状況が今後も続くのであるならば、実態にあったように品質マニュアルや規定を改訂するのですが、経営判断というのは社内外の環境変化などにより何時変わってもおかしくないものです。

審査などで聞かれた際には、「経営判断で現在の運用となっており変わることも予想されるため、今は規定改訂はしていない。」と回答すればよいと考えています。

実際のところ、会社の品質方針や品質目標が大きく変わることはなく、変わったとしても文言の変更程度なので、現場の実務レベルへの大きな影響とはならないのですが、管理責任者やISO事務局としては何ともすっきりしないそうです。

品質目標と品質目標実施計画の運用

営業部署を例に目標と計画を考えてみます。

前提として、

  • 期末に全社予算が決まる。
  • つまり、各部署の営業予算が決まっている。

とします。

営業部署の年間計画は、次のような内容になります。

  • 各月の目標予算
  • 主要な活動目標
    • 顧客訪問件数(既存、新規)
    • 主要案件の見込み(金額、受注予定)

そして、期が始まると毎月、

  • 計画に対する差異
  • 差異に対する取り組み

について経営層に報告します。

ここで、年間目標のための細部計画という視点から見ると、

  • 各月の目標予算は、期初の部署予算を元に決めている。
  • 活動目標については、期初の1、2ヵ月についてはある程度詳細な目標値を決めている。

しかし、

  • 3ヵ月以上先になってくると詳細な活動目標(具体的に何をするか)が不明確

ということがあります。

これは、

  • 各月の目標予算達成状況に応じて具体的に何をするか考え目標を設定する。
  • 主要案件について期初の見込みと差異が出てくるので計画や目標値を修正する。

といった運用をしているためです。

ここで、

  • 各月の詳細な計画や具体的な活動目標が決まっていない。

と指摘しても意味がありません。

なぜなら、この営業部署は年間目標を達成するために、

  • 毎月の目標を設定し、実績(進捗)を把握し、翌月の目標に反映することを年度末まで繰り返すことで、1ヵ月単位のPDCAを回していることになる。

からです。

この様な運用になっている理由は明白です。

  • 1、2ヶ月ならまだしも何か月も先の状況は分からない。

からで、当事者からすれば疑問の余地のない当たり前のことです。

内部監査員には、

  • 目先の事象だけでなくその背景を含め、
  • 品質マニュアルや規定類と実際の被監査部署の状況を理解したうえで、
  • 要求事項で求められていることを判断できる。

ようになって欲しいものです。

はかせ
はかせ

少々求め過ぎかもしれませんが、業務改善を目的とし会社全体をよりよくしていくためには考慮したいことではあります。

マネジメントレビューと管理責任者の思い?

会社の品質方針や品質目標が大きく変わることはあまりないと考えています。

しかし、全社の品質目標を達成するための行動指針(活動指針)が明確か具体的でない場合には、「リーダーシップの発揮」について内部監査で確認することが難しくなります。

社長の思いや考えなどが、総論的で具体的でない場合でも、各部署長が社長の意図を自部署の目標に落とし込めばよいとも考えるのですが、果たして社長の意図を部署長とはいえ社員が理解できるのかについては疑問が残ります。

例えば、「全社予算必達」を全社目標とした場合、予算達成のためなら何でもやってよいというわけではないので、自ずと全社目標を達成するための各部署の目標や達成手段も決まってくるように思うのですが、これでは単純化し過ぎているのかもしれません。

ある案件を何とかできないかと上司に言われ、「社長は何をしたいのですか?」と上司に確認したことがありましたが、答えはありませんでした。

また、忖度(そんたく)というほどではありませんが、内部監査やマネジメントレビューのインプット資料には、内部差監査責任者や管理責任者の思いを込めています。

社長にこの思いは伝わってはいるようですが、何が変わるわけでもなく、アクションがるわけでもなく、結果的には従来通りが続いています。

部署長とは言え社員には言えないことが社長にはあることは理解できます。これは、ISO(品質)の管理責任者は、社長に近い経営企画などの社長直属の部署が担当した方がよいと私が考える理由でもあります。

ISO9000シリーズがモノの品質マネジメントから始まったため、管理責任者を品質保証部長(品質管理部長)が兼務することが多いかと思いますが、ISO9001:2015で経営との統合が従来以上に求められている今、品質保証部長にはモノの品質を任せ、経営に近い社長直属の部署でマネジメントレビューを担当する方法もよいのではないかと考えています。

まとめ

年間目標とその実施計画が決まっていても、目標達成の手段については、毎月の実績から見直し決めていく運用をしていることがあります。

この場合、毎月の実績に応じ目標達成のための手段を決め実施しているので、年間目標達成のため1ヵ月に1回のPDCAを回していることになります。

内部監査員には、規定では年間計画に全期間について計画するとなっていて現場の運用と違っていると表面的に判断するのではなく、どうしてその様な運用になっているかまで考え業務改善に資する内部監査をできるようになって欲しいと考えています。

少々まとまりのない記事となりましたが、ここでは、以下の項目について説明しました。

  • このブログで公開している品質マニュアルでの品質目標管理
  • 品質目標と品質目標実施計画の運用
  • マネジメントレビューと管理責任者の思い?
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