「品質マニュアル3.0」の関連規定の1つ、「外注・購買管理規定」の一例です。
外注・購買管理については、外注・購買フローをプロセスとして整理することの他、財務・経理のルールや調達(外注・購買)に関する次の点もポイントになります。
【固定資産とそれ以外】
- 固定資産:モノづくりの設備、金型など。会社の資産として管理するモノ
- それ以外:外注含む
【外注先(製造委託先、取引先)の評価】
- 会社対会社、取引(ビジネス)できるかどうか:与信、支払い条件等
- 購入するモノ、サービスの品質、価格、納期
1. 目的
本規定は、外注・購買業務に係わる手順等を定め、外注・購買業務を効率的に運用することを目的とする。
2. 適用範囲
本規定が適用される範囲は、当社の外注・購買業務に適用する。
対象となる購買品を、以下に示す。
- 原材料
- 一般規格品・市販品ならびにそれに準ずるオーダー品
- 当社仕様に基づく製造委託品(加工・組立を含む)
- 他社のブランドでそのまま顧客に販売する仕入商品
- 10万円(税別)以上の製造設備、金型等、検査設備、什器ならびにソフトウェア
- 副資材
- 運送、倉庫保管等の委託業務(サービス)
- 外注設計、ソフトウェア作成及び機器校正等の委託業務
なお、特に断らない限り、以下「外注・購買」を「購買」という。
購買業務に関する購買フローを下図に示す。
3. 購買先及び購買品の管理
購買先及び購買品に対する以下に挙げる管理の方式及び程度は、購買品が、その後の製品実現のプロセス又は最終製品に及ぼす影響に応じて定める。
- 購買品の受入検査の方法
- 購買品に関する契約書や仕様書の内容
- 購買先(取引先)の調査方法
- 購買先(取引先)に要求する品質管理システム
- 購買先(取引先)に対して行う品質監査
4. 購買先の評価
4.1 購買先の評価担当部署
(1)購買先の評価は、発注部署が行う。
(2)品質に関する評価は、品質保証部が行う。
(3)購買ルートと購買先評価部署は下表の通り。
購買ルート | 購買先評価部署 |
---|---|
製造部 → 購買先 | 製造部 |
営業部署 → 購買部 → 購買先 | 購買部 |
営業部署 → 購買先 | 営業部 |
4.2 購買部署による購買先(取引先)の評価
(1)購買部署は、新規購買先及び継続取引先の評価を行う。
(2)新規購買先については、新規取引開始前に、購買先を評価する。
(3)継続取引先については、当該購買部署が評価する。この際、チェックリスト等を使用する。
(4)評価の結果、継続取引不可と判断された場合、購買先の登録情報を使用不可とする。
4.3 品質保証部による品質管理レベルの評価
(1)品質保証部は、クレーム、不適合品発生、顧客による品質監査(立会)などの機会を利用して、協力会社に関する品質レベル(品質管理能力)の評価を行う。
(2)製造委託先の品質管理能力評価結果は、必要に応じ、購買部署に連絡する。
5. 新規購買先の登録
(1)当該購買部署は、購買先から購買先の登録に必要な情報を集める。
(2)当該購買部署は、取引可と判定された購買先の登録を申請し、社長の承認を得る。
(3)当該購買部署は、必要に応じ、購買先と製造委託に関する基本契約を取り交わす。
(4)購買部は、承認された購買先を登録する。
(5)購買部は、登録された購買先との契約書等を保管、管理する。
(6)購買先の登録内容に変更がある場合には、購買部に申請し、購買部が変更する。
6. 購買先の選択
当該購買部署は、登録されている取引先から価格、納期、品質等を考慮して、選択し発注する。
7. 購買仕様
(1)当該購買部署は、購買品についてその仕様を下記のいずれかにより特定する。
- 仕様書、図面など
- 顧客の購入仕様書類または/および当社が顧客へ発行した仕様書類
次の事項が該当する場合は、これらを含めて発注内容を明確にする。
- 品名、種類、ロット番号またはその他の識別の表記、記録
- 購買品の特性値
- 適用される公的規格、メーカーの規格
(2)製造委託品について、当該購買部署は購買先において製品品質に影響を与える「人(資格に係わる場合)、材料、設備、製造方法、製造場所」を変更する場合(4M変更)に報告を受けられるように、購買先にあらかじめ周知する。
これらの変更について購買先から報告を受けた場合、当該購買部署は必要な社内手続きを行う。
(3)当該購買部署は、原材料が製造中止になる等の理由により製造が不可能となる場合には、速やかに技術部に連絡する。
技術部は、速やかに仕様変更、代品の選定など必要な措置を講じる。
(4)金型等の発注においては、型資産管理に必要な社内手続きを行う。
8. 計画外及び高額品の購買発注手続き
(1)100万円以上の計画にない物品を購買する場合には、事前に営業会議で説明し承認を得る。
(2)受注生産品において、1品目で20万円以上の発注を購買部署に依頼する場合には、事前に営業会議で説明し承認を得る。
9. 見積
(1)原則として、見積書を入手する。
(2)相見積りをとることを基本とし、見積書は営業部長の承認を得て、管理・保管する。
10. 発注
(1)当該購買部署は、見積書に基づき注文書を作成し部長の承認を得て、購買先に送付する。
(2)注文書には、発注番号、納期、納入場所、品目コード、品名、発注数量、発注単価、発注金額を明記する。
11. 受入
(1)発注した物品・設備等が、注文書に記載された指定納入場所に納入され、かつ、納品書・請求書類が、その納入場所所管部署(以下「受入部署」という)、または当該購買部署に届いた時点で、受入処理を行なう。
受入部署または当該購買部署は、納入された購買品と納品書を照会し、品名、数量に相違がないことを確認する。相違がある場合は、速やかに対処する。
(2)購買先から現場に直送する等で当社が発注した物品等の受入確認を直接できない場合には、発注先または運送会社が発行する帳票等(コピー可)と納品書・請求書等により、受入の確認とすることができる。
12. 購買製品の検証(受入検査)
当該製品購買部署が受入事項の確認後、受入検査を実施する。
13. 検収
受入された物品は、下記の要件を満たした場合に、当該購買部署は検収処理をすることができる。
(1)受入検査で合格であること。
(2)発注物品・設備等の受入部署または当該購買部署が、数量と外観ならびに購買仕様と相違がないこと。
(3)金型等については、事前に発注の承認が得られていること。
(4)当該購買部署が購買先と契約時に合意した検収条件によること。
14. 支払依頼と支払
(1)支払依頼は、検収処理に基づき、当該購買部署長の承認印がある購買先からの請求書を財務部に送付することによる。
(2)支払は、請求書に基づき、財務部が行なう。
15. 製造に関するプロセスの妥当性確認(委託加工)
製品の製造工程(委託加工)において、事後の検査・試験等では検証できない溶接などの特殊工程についての妥当性確認を「製造管理規定」に従い実施する。
まとめ
ここでは、「品質マニュアル3.0」の関連規定の1つ、「外注・購買管理規定」の一例について説明しました。