内部監査員教育を進めていくうちに、例えばスピーチ原稿のような、ど忘れしたり困った時の心の支えみたいなものがあるとよいのではと思ったことが、内部監査員向けハンドブックをまとめるきっかけとなりました。
ハンドブックがあれば、気付いたことをメモする、資料を加えるなどして、自分で使いやすいものにしていけるのではないかと思ったからです。監査員自ら作る、作り上げていくのが望ましいとは思いますが、それができる監査員であれば、そもそもハンドブックは必要ないでしょう。
そこで、初めて内部監査に取り組む監査員候補を想定してまとめ始め、内部監査ガイドとしてまとめました。
PDCAにおける内部監査の位置づけ、役割
品質マネジメントのPDCAで、内部監査はCheck(確認)に当たり、改善のためのきっかけ、起点とも考えられます。Checkすれば何をすれば良いかは見えてくるので、Action(改善)そして次のPlan(計画)、Do(実行)につなげていくことができます。
振り返りが苦手でも年1回の内部監査とマネジメントレビューで、PDCAを年1回は回すことができるので、次のPDCAにつなげられます。つまり、継続的改善を始めることができるのです。
監査員教育でコミュニケーションを重視する理由
コミュニケーション(ここでは特に信頼関係)がとれていない内部監査でも、ISOの認証維持はできます。しかし、形式的なものになってしまうのは避けられず、折角の品質マネジメントを活用することが難しくなってしまいます。
これまでには、初めての内部監査において、「まるで何を聞き出して報告する気なんだ?」といったような警戒感がありありと感じられることもありました。2回目以降の内部監査からは徐々に話してくれるようになり、やはり重要なのは人間関係(信頼関係)なのだと思ったものです。
内部監査員の心構えとして、監査員である前に、人として、誠実、信頼が大切です。とはいえ、経験や知識は何とかフォローできますが、コミュニケーションはフォローしきれない面もあるのが悩ましく、現実はなかなか厳しいなと思うことがあります。
こんな内部監査員を育てたい
正直なところ、品質マネジメントシステムがISO9000シリーズの要求事項を満たしてにいるかどうかを確認する内部監査でよいならば、規格要求事項についての審査員レベルの力量があれば十分かと思います。
しかし、内部監査を通じて会社のどこに問題や課題があるかを見つけ改善していかないというのでは、折角品質マネジメントを導入したのにもったいないとは思いませんか?この部分を外部審査に頼るのも無理があります。
品質マネジメントシステム、経営、会社の仕組みを本気で改善していくのであれば、内部監査員には次のような幅広い知識や経験と行動力が必要になります。
個人ではどうにもならないことも含まれますが、私自身もこうありたいと思っています。
- 【経営計画】
- どんな会社になるかの具体的イメージ
- ビジョンを社内で共有できることがポイント
- 【マーケティング】
- 自社を知り、お客様を知るのが前提です。
- 【財務の基礎】
- 商品の原価、売価、利益とか基本的なこと
- 【マネジメント】
- 足し算(人数分の成果を出す)マネジメント
- さらに、掛け算のマネジメント(人数分以上の成果を出す)
- 【組織運用教育】
- 管理者教育、義務と責任など
- 【問題解決】
- 課題解決
- 失敗しても繰り返さない原因分析と対策
ISO9000シリーズの品質マネジメントは、経営のことでもあるため、内部監査は、経営企画とか社長直属の部署の仕事・役割だと考えています。
情報セキュリティで言われるNeed to Knowの原則(情報は知る必要のある人のみに伝え、知る必要のない人には伝えないという原則)からも、無理がないと思います。
参考:クラウド時代のNeed to Know~情報セキュリティ初めの一歩
振り返ると、マネジメントレビューのインプット情報を作る時にも同じことを考えていたことを思い出します。いつのまにか変わっていた、成長していたと後から気づくような進め方、マネジメントを目指していますがなかなか形にならず、今でも試行錯誤中です。
内部監査員ガイド
内部監査員教育のためにつくったハンドブックを作成しました。
内部監査ガイドは、教科書的な内容も含め以下の項目となっています。
外部審査(更新審査、サーベイランス)は、内部監査員にとっても非常に良い学びの機会だと思いますので、是非活用してください。
まとめ
ここでは、内部監査員教育についてまとめました。
- PDCAにおける内部監査の位置づけ、役割
- 監査員教育でコミュニケーションを重視する理由
- こんな内部監査員を育てたい
- 内部監査員ガイド