モノづくりメーカーの新メンバーとして仲間に加わると、新入社員研修を受けます。
まずは、いわゆる人事や総務から会社員として最低限知っていないと困るルールや手続きから始まり、その会社の基本的な社員教育、そして、営業や技術など各職場向けの教育と段階的に進んでいきます。新入社員計画の内容や進め方は、それこそ会社により様々です。
ここでは、品質保証と品質管理の違い、品質保証の仕事、ミスを繰り返さないために何をするかについて説明します。
品質保証と品質管理の違い
品質保証は、英語で「quality assurance」、QAといいます。
品質管理は、英語で「quality control」、QCといいます。
品質保証と品質管理の違いを一言で言うと、
- 品質を保証するとは、自社製品の品質に太鼓判を押す。
ことです。
言い方を変えると、
- 「弊社の製品の品質を保証します。」
と言い切ることです。
品質を保証するための品質管理、PDCAによる品質改善活動の結果が品質保証となるともいえます。
次の様な考え方では、品質を保証できないのです。
- 不良品(不適合品)を作ってしまった。ちょっと手直しして納品してOKがもらえたので完了とする(不適合に対する是正処置を完了とする)。
これがなぜいけないのか?
理由は、不良品を作った原因を調べていないため、対策ができない。つまり、再発防止になっていないので、また不良品を作ることになるからです。
品質保証は品証の人の仕事ですか?
品質保証は、検査をする部署(品質保証部)の仕事だと思っていませんか?
仮に、品質保証は品質保証部の仕事だとすると、
- 「品質保証部の検査員が行う検査で品質を保証できる。」
ということになりませんか?
不具合が発生すると、「品証は検査したのか?」といった声が出ることもありますが、そもそも品証の検査だけで製品の品質を保証しているわけではありません。
モノづくりのプロセスは、ざっくりと次の工程(プロセス)を経て出荷されます。
- ①材料や部品を準備する(調達、品揃え)
- ②材料を加工して部品を作る(加工)
- ③部品を組み立てる(組立)
- ④完成した製品を検査する(検査)
上記①から③の3つの各工程が100点満点であることが前提で、最終的な④の検査で図面(仕様)通りできているか確認し、検査に合格すれば出荷可能となります。
検査で確認できるのは製品であり、最終確認です。つまり、次のような作業ミスなどがあると検査では気づかない場合があります。
- 材料や部品が違う:外観を見て分かる場合もありますが、鋼材を外観で判断するのは難しいですし、めっきや塗装をしていれば素材は分かりません。
- 加工方法が違う:例えば、熱間加工と冷間加工、外観では判断が難しいものです。
- 組み立て間違い:図面を見て気づく間違いと、組み込まれてしまっていて分解しないと分からない場合もあります。
つまり、各工程において次のことが当たり前のこととして求められ、各工程では確実に責任をもって自工程を行うということになります。
- ①正しい材料や部品を準備する(調達、品揃え)
- ②正しく材料を加工して部品を作る(加工)
- ③正しく部品を組み立てる(組立)
モノづくりの全ての工程において、正しく工程が実施されることで、製品品質を保証できるということです。
失敗を繰り返さないようにするには
人はミスをします。ISOでいうヒューマンエラーをゼロにするのは難しいことですが、不可能なことではありません。
1つのミスにより、不具合(不適合)が発見されると、原因を調べ対策をして再発しないように、ミスを繰り返さないようにします。
品質を保証するためには、「検査でミスを発見する」のではなく、「ミスを減らし、不良品を作らない」ようにすることが必要です。
品質保証は、次の様な活動を続けることで実現することでできます。
- 品質を維持する活動と品質を改善する活動
- PDCAと標準化
まとめ
モノづくりメーカーの新メンバーとして仲間に加わると、新入社員研修を受けます。新入社員計画の内容や進め方は、それこそ会社により様々です。
ここでは、品質保証と品質管理の違い、品質保証の仕事、ミスを繰り返さないために何をするかについて以下の項目で説明しました。
1人でモノづくりができないように、品質保証部が検査をするだけでは品質保証にはならないのです。
- 品質保証と品質管理の違い
- 品質保証は品証の人の仕事ですか?
- 失敗を繰り返さないようにするには