最近は、義務教育でも実験の機会は少なく、工学部の研究室でも実験を経験する機会は少なくなっています。
私の場合は、振動制御を専攻した結果、シミュレーション(CAE)と実験の両方を経験することになり、実験とシミュレーションの結果が違った場合には、シミュレーションの解析条件をチェックしていました。
ところが2000年代になると、実験とシミュレーションの結果が違った場合に、「シミュレーションは正しい。実験に何かミスがあったのでは?」と考える学生さんが普通であり、驚いたことを思い出します。
モノづくりの会社に入社する人は、何らかのモノづくりの経験があるとは限りません。何らかのモノづくりを見たり体験したりしている人も少ないのが現実の様です。
入社後の教育・訓練では、安全管理や品質管理について説明をすることになるわけですが、モノづくりの作業についてイメージもなければ、モノづくりに関する言葉も知らないため、一体何から説明しなければいけないか戸惑うことも少なくありません。
このブログの品質マニュアルや関連規定は、20名規模のモノづくりメーカーを想定して作ったものですが、モノづくりの工程(様々な作業)について学ぶ前に、安全に作業するために必要な基本的な知識があります。
ここでは、工場での作業安全について、実際の作業をする作業者だけでなく、作業エリアに行く人も守ることのうち、重いものを運んだり、脚立を使う場合について説明します。
重いものを運ぶ場合の注意
まず、物を運ぶ際の注意点について説明します。
物の持ち方については、次の様な説明をよく聞きます。
- 物の持ち上げる時は、腰を入れて、腰を落として、脚の力で持ち上げる。
そして、よく聞く失敗体験が、
- つい持ち上げてしまってギックリ腰
突然やってくるギックリ腰は、仕事だけでなく日常生活にも支障がでます。笑えない話です。
つまり、物を持ち上げる時には持ち上げ方があるということです。
しかし言葉で説明するのが難しいので、現場では次の様に段階を踏んで教えているようです。
- 軽い荷物を使って持ち上げ方を見せる。
- 軽い荷物を持ち上げさせる。
- だんだん、いつもの重さの荷物に近づけていく。
ギックリ腰にはならなくても腰を痛めたりするのは、次の様な場合はあります。
- 見かけでは重そうに見えなかったので、いきなり持ち上げた。
- 急いでいたので、いきなり持ち上げた。
個人の健康が第一、職場では安全第一、習慣になるまで注意し続けることの1つです。
カートを使う場合の注意点
手で荷物を運ぶ場合には、荷物が1個で手で持てるならそのまま運びます。
荷物が複数の場合や重い場合にはカートがよく使われます。
カートに物を積む場合には、次のような注意が必要です。
- 移動時に物がずれない(移動しない)ように積む。
- カートの取っ手側に詰める。
- 安定しない物や長物は、カートで無理に運ばず複数名で運ぶ。
カートで運ぶ場合には、次のような注意が必要です。
- 走らない。
- 荷物が動いたら積みなおす。
分かっていてもやってしまうから、ケガや事故になってしまうことがあるようです。
脚立を使う場合の注意
脚立の上で作業の注意手にについて説明します。
- 脚立の上で作業、1番上に立たないこと。
- 脚立が揺れない様にしっかり固定して、補助者を置きます。
- 補助者は、無理な作業を止める役目もあります。
脚立を使う時にも、
- 脚立の置き方
- 補助の人の支え方
- 脚立の登り方
- 脚立で作業する時の身体の使い方
- 脚立上で作業している人の補助の仕方
などがあります。
これも言葉や文章では説明しにくいので、実際に体験させたりしているようです。
脚立でのケガや事故の原因には、つい急いだり、無理をしてしまったといったことがあります。
個人は健康第一、職場では安全第一、どんなに急いでいても、誰も見ていなくても守らなければならないやり方は守ります。
ケガや事故をしてからでは、後悔しか残りません。
まとめ
このブログの品質マニュアルや関連規定は、20名規模のモノづくりメーカーを想定して作ったものですが、モノづくりの工程(様々な作業)について学ぶ前に、安全に作業するために必要な基本的な知識があります。
ここでは、工場での作業安全について、実際の作業をする作業者だけでなく、作業エリアに行く人も守ることのうち、重いものを運んだり、脚立を使うときについて以下の項目で説明しました。
- 重いものを運ぶ場合の注意
- カートを使う場合の注意点
- 脚立を使う場合の注意