品質マネジメントのうち製造については、ISO9000シリーズの要求事項に関することは、「製造管理規定」にまとめています。
「製造設備等管理標準(ガイドライン)」の作業安全心得の「運搬作業、高所作業」についてまとめています。

ここにまとめている内容は特別なことではないのですが、当たり前のことを当たり前に実行すること、その状態を維持することが難しいようです。
事故が起きる時にはいくつかの要因が重なっていることが多いようです。
4. 運搬作業、高所作業
運搬や高所での作業においては、作業者が複数である場合が多く、かつ、事故による被害が大きい。
それゆえ、作業中の指示及び指示系統を明確にしなければならない。
なお、重量物運搬等の作業においては、1人の指示者の下で行うこと。
4.1 フォークリフト、天井クレーン等による運搬作業
4.1.1 フォークリフトや天井クレーンによる作業に必要な資格
(1)フォークリフト、天井クレーンを使用する作業
それぞれについて定められている特定の免許・資格などを有し、「資格台帳」に登録されている者以外は、作業したり、作業させたりしてはならない。
参考:「製造管理規程」
(2)上記以外の作業
特定の免許や資格を要しない運転業務には、部署長は、設備などの構造、機能、作業方法、設備などの取扱い、危険防止などに関する規定について、危険防止のための教育・訓練を行った後、従事させる。
4.1.2 クレーン、チェーンブロック等の作業における安全上のポイント
(1)クレーンやチェーンブロック等は、重量物の上げ下ろし、または移動のために使用するもので、電気的運転または手動によって操作するものである。
許可された者のみが運転その他の作業に従事するものとし、次のような注意を十分に守ること。
- 電源設備に手を触れないこと。
- 上げ下ろし、移動作業中、重量物の下またはその附近から十分離れていること。
- 作業者の指示に従って動作し、資格を有しない者が手を出すことが許されるまでは、その危険作業を観察していること。
- 個人個人が真剣に自分の身体の安全を守るため、最大の注意を払うこと。
(2)運転者以外の者は、談話、ふざけなどを避けて、不注意による不慮の人身事故を招かないよう細心の注意を払うこと。
この注意を守らない者がある場合、関連する作業・試験に従事させてはならない。
(3)作業に従事する者は、安全帽(ヘルメット)、安全靴及び作業に適した服装を着用すること。
4.2 車による運搬における安全上のポイント
車両で製品等を運搬する場合には次の注意を守ること。
(1)疲労・多忙などのため、不慮の事故を起こさないよう、特に遠方へ運搬する場合には十分の配慮をして、2人以上で乗車・運転するなど作業管理者の指示に従うこと。
(2)積荷はできるだけ低く積み、よく縛り付ける。積み過ぎない。
(3)片積みにならないようにし、品物は車体からはみ出さないようにする。
(4)重いものを先に積み、軽いものをあとから積む。
(5)危険物や長物の運搬には、危険標示をする。
(6)特に必要があるときには、見張りまたは合図者をおく。
4.3 高所作業
高所作業は地面又は床から高さ2m以上の場所でする作業のことで、安全帯・安全帽など装着して複数で行わなければならない。
また、脚立や梯子を使用したり、屋根など高所へ登って作業することがある。
高所作業をする場合には次の注意を守ること。
(1)身ごしらえ、身構えをよくして、決して無茶な作業、危険な作業方法をとらないようにする。必ず監視者をおく。
(2)足場に注意し、安全帯等命綱を必ず使用し,命綱における支持部分の安全確認も必要である。
(3)屋根上の作業の場合、特に足もとに注意する。特にスレートなどの場合には、踏板を準備する。また、梁などの上を通らなければならないときは、特に注意すること。
(4)高所作業においては、滑りやすい履物は絶対用いてはならない。
(5)これ位の高さの場所と、あなどってはいけない。わずかに高い所でも、落ちようによっては死亡することさえある。
(6)足場、屋根、命綱、梯子などを用いるときは、十分に安全なことを確かめてから作業にかかる。
(7)高所における力作業は、地上での半分くらいの力でやめておく。
(8)足場、屋根の上に重いものを上げ、または持ち歩いてはいけない。
(9)梯子についての心得
- 梯子は丈夫なもので、長過ぎず、よく適したものを用いる。
- 梯子をかけるときは、足場が堅固である所を選び、開き戸の前、通路で人の通る可能性のある場所を避けて、下に監視者をおく。
- 壁に対して15°くらいが適当である。
- 梯子はぬれていたり、油じみていたりして、滑りやすい状態では使用しない。
- 横木が折れる心配のあるものは使用しない。
- 梯子の昇降は、必ず一人で行い、手に物を持たない。
4.4 物を持って運ぶ
4.4.1 危ない物を運ぶ時のコツ
運搬作業では、応用動作が多いため、運び方のコツ(要領)を考えないと危険です。
ケガを防ぐため、物を持って運ぶときのコツを以下に示す。
(1)数の多いバラ物
落ちやすいため、容器に入れてから運ぶ。
(2)長い物
ぶつかりやすいため、2人で両端を持って運ぶ。
(3)重い物
筋肉や腰を痛めやすいため、ホイスト、動力車、台車等を利用して運ぶ。
(4)油の付いた物
すべりやすいため、油を拭き取ってから運ぶ。
4.4.2 物を持ち上げる時の姿勢

姿勢については、イラストなど見て分かるようにした方がよいです。
(1)足を半歩開いて荷物の前にに立つ。
(2)腰を落として荷物の下に手を入れて、しっかり持つ。
(3)荷物を抱えて静かに立ち上がる。
(4)前方を確認してゆっくり歩く。
4.4.3 台車による運搬
職場内の運搬や短い距離の運搬など、手では運べないがフォークリフトを使うほどではない運搬の際に、台車・手押し台車を使います。
台車は、手軽に扱える半面、ついムリ、ムチャをしがちです。
以下に注意点を示します。
- 運搬する品物の形状、寸法、重量、数量に適した運搬車を使用する。
- 重い荷を下に積む。片積み(荷の片寄り)をしない。
- バランスよく積むということです。
- 積み荷の高さは、前方が見える程度にとどめる。
- 小物は容器に入れて運ぶ。
- 転がりやすいもの、倒れやすい物は、クサビ、アテ物を用い、ロープで固定する。
- 人は載せない。乗らない。
- 走らせない。押しながら走らない。
- 前から引っ張らない。必ず後ろから押す。
- 運搬車の点検(車輪、ハンドルなど)を行ってから使用する。
まとめ
品質マネジメントのうち製造については、ISO9000シリーズの要求事項に関することは、「製造管理規定」にまとめています。
「製造設備等管理標準(ガイドライン)」の作業安全心得の「運搬作業、高所作業」についてまとめました。