最近は、義務教育でも実験の機会は少なく、工学部の研究室でも実験を経験する機会は少なくなっています。
私の場合は、振動制御を専攻した結果、シミュレーション(CAE)と実験の両方を経験することになり、実験とシミュレーションの結果が違った場合には、シミュレーションの解析条件をチェックしていました。
ところが2000年代になると、実験とシミュレーションの結果が違った場合に、「シミュレーションは正しい。実験に何かミスがあったのでは?」と考える学生さんが普通であり、驚いたことを思い出します。
モノづくりの会社に入社する人は、何らかのモノづくりの経験があるとは限りません。何らかのモノづくりを見たり体験したりしている人も少ないのが現実の様です。
入社後の教育・訓練では、安全管理や品質管理について説明をすることになるわけですが、モノづくりの作業についてイメージもなければ、モノづくりに関する言葉も知らないため、一体何から説明しなければいけないか戸惑うことも少なくありません。
このブログの品質マニュアルや関連規定は、20名規模のモノづくりメーカーを想定して作ったものですが、モノづくりの工程(様々な作業)について学ぶ前に、安全に作業するために必要な基本的な知識があります。
ここでは、工場での作業安全について、実際の作業をする作業者だけでなく、作業エリアに行く人にも関係する、いつもと違う、教わったことと違う時に注意することについて説明します。
守破離は主が重要です
守破離の破「教わったこととは違うことをやる。」のは、教わったことの理由「どうしてそうやるのか」の考え方が分かる様になってからです。
1つ1つの作業には、そうする理由があります。
その理由があることに気づき、どうしてそうするのか自分で理解できてからです。
作業は安全第一です。
作業の安全は、作業者だけが関係していることではないのです。
いつもと違うには、数多くのリスクが隠れています。これらのリスクは、先人たちの失敗による教訓となっていることも多いのです。
また、知らないことは恥ずかしいことではありません。知らないままに作業をすると思わぬケガや事故になってしまうことがあります。
初めてのことやいつもと違うことについて、不安や違和感があれば周りの人や上長に聞き、自己判断で作業を進めないことが作業安全を確保するためには必要なことです。
4Mと3Hの考え方
いつもと違うことをある程度予想して準備したい場合に、4Mや3Hの考え方が参考になります。
品質管理では、QCDに大きな影響のある変化点として4Mの考え方があります。
- ヒト(Man):ヒト(作業者)が不慣れだったためバリが出た。
- モノ(材料)(Material):材料を間違えた。
- 設備(Machine):機械の故障
- 方法(Method):作業指示が変更されていたが気づかなかった。
そしてもう1つ3H(はじめて、変更、ひさしぶり)という考え方があります。
一般に、事故やトラブルは「初めて、変更、久しぶり(3H)」の場合に発生することが多く、定常時には少ない傾向があります。
そこで、事故やトラブルが発生しないように、事前に「初めて、変更、久しぶり」の3Hの視点で検討し、確認しながら仕事を進めます。
例えば、モノづくりにおいて3Hを確認するタイミングの例は、次の様になります。
- 初めて:生産立ち上がり
- 変更:製造条件変更
- 久しぶり:再稼働
まとめ
このブログの品質マニュアルや関連規定は、20名規模のモノづくりメーカーを想定して作ったものですが、モノづくりの工程(様々な作業)について学ぶ前に、安全に作業するために必要な基本的な知識があります。
ここでは、工場での作業安全について、実際の作業をする作業者だけでなく、作業エリアに行く人にも関係する、いつもと違う、教わったことと違う時に注意することについて以下の項目で説明しました。
- 守破離は主が重要です
- 4Mと3Hの考え方