最近は、義務教育でも実験の機会は少なく、工学部の研究室でも実験を経験する機会は少なくなっています。
私の場合は、振動制御を専攻した結果、シミュレーション(CAE)と実験の両方を経験することになり、実験とシミュレーションの結果が違った場合には、シミュレーションの解析条件をチェックしていました。
ところが2000年代になると、実験とシミュレーションの結果が違った場合に、「シミュレーションは正しい。実験に何かミスがあったのでは?」と考える学生さんが普通であり、驚いたことを思い出します。
モノづくりの会社に入社する人は、何らかのモノづくりの経験があるとは限りません。何らかのモノづくりを見たり体験したりしている人も少ないのが現実の様です。
入社後の教育・訓練では、安全管理や品質管理について説明をすることになるわけですが、モノづくりの作業についてイメージもなければ、モノづくりに関する言葉も知らないため、一体何から説明しなければいけないか戸惑うことも少なくありません。
このブログの品質マニュアルや関連規定は、20名規模のモノづくりメーカーを想定して作ったものですが、モノづくりの工程(様々な作業)について学ぶ前に、安全に作業するために必要な基本的な知識があります。
ここでは、工場での作業安全は、実際の作業をする人はもちろんですが、作業エリアに行く作業者以外の方にも必要なことについて、まずは3Sから説明します。
3S(整理・整頓・製造)とは
3Sとは整理・整頓・清掃のことで、次の様な意味合いになります。
- 整理:必要な物と不要な物に分け、不要な物は捨てること。
- 整頓:必要な物を決められた場所(定位置)に置くこと。いつでも取り出したり、使えたりする状態にしておくこと。
- 清掃:常に清掃をして、きれいな状態に保つこと
品質管理の基本は、3S(整理・整頓・清掃)です。
以下に整理・整頓・清掃の例を示す通り、作業安全も整理・整頓・清掃が重要です。
整理
- 作業現場に不要なものが置いてあり、作業エリアの中で実際に作業できる場所狭くなっている。
- 黄色の線で区切られた通路上に、物が置いてある。
整頓
- 定位置が決まっているのに、明日も使うからと作業現場に置いたままにしている。
- 定位置か無断で工具が持ち出されており、どこにあるか分からず探し回る。
清掃
- 床が濡れているのに放置しているため、滑って危ない。
- ゴミを指定の場所に置かず、作業現場に置いたままにしている。
作業現場の3Sで具体的にやること
できるだけ具体的な例で作業現場の3Sについて説明します。
作業に使う工具や工作機械であれば、例えば次のことをします。
- 工具や工作機械の清掃・手入れ
- 工具は元の位置に戻す。
- 工作機械は、元の状態(ボール盤であれば、ドリル刃を外したり、テーブルを定位置)にする。
- 作業エリアの清掃
つまり、
- 「やりっぱなしにしない」
- 「使い終えたら元通りの状態に戻す」
ということです。
難しいことや特別なことが求められているわけではありません。
整理・整頓・清掃とは、
- 不要なものは捨て、
- 定位置を決めて使ったら戻す、
- 清掃して作業前の状態に戻す。
ということです。
まとめ
このブログの品質マニュアルや関連規定は、20名規模のモノづくりメーカーを想定して作ったものですが、モノづくりの工程(様々な作業)について学ぶ前に、安全に作業するために必要な基本的な知識があります。
ここでは、工場での作業安全は、実際の作業をする人はもちろんですが、作業エリアに行く作業者以外の方にも必要な内容について、3Sについて以下の項目で説明しました。
- 3S(整理・整頓・製造)とは
- 整理
- 整頓
- 清掃
- 作業現場の3Sで具体的にやること