モノづくりメーカーの新メンバーとして仲間に加わると、新入社員研修を受けます。
まずは、いわゆる人事や総務から会社員として最低限知っていないと困るルールや手続きから始まり、その会社の基本的な社員教育、そして、営業や技術など各職場向けの教育と段階的に進んでいきます。新入社員計画の内容や進め方は、それこそ会社により様々です。
モノづくりと言えば改善(KAIZEN)が不可欠です。
ここでは、品質マネジメントシステムの7原則、ISO(品質マネジメントシステム)による全社及び現場での業務改善、PDCAやプロセスアプローチについて説明します。
何のための業務改善
品質マネジメントとは何かについて、以下の品質マネジメントの7原則を使い説明します。なお、この7項目については、どれが最も重要かといったものではありません。
- 顧客重視
- リーダーシップ
- 人々の積極的な参加
- プロセスアプローチ
- 改善
- 客観的事実に基づく意思決定
- 関係性管理
品質マネジメントシステムの7原則について、次の様に説明しています。
- 品質マネジメントシステムとは、ビジョン(ありたい姿、イメージ)があり、「顧客満足」を高めるために、「継続的に改善」していくこと。
- そのための取り組み方として「プロセスアプローチ」を使っている。
つまり、品質マネジメントシステムの原則とは、以下の様に言えます。
- 顧客満足を高めるために継続的に改善をします。
- この改善を進める助けとなるのがプロセスアプローチでありPDCAです。
以下、改善について、会社全体の改善と、個人やチームの改善について説明します。
会社全体の改善とは
会社には社是や経営理念と言われるどんな会社にしたいかやどんな社員になって欲しいかといった社長の思いがあります。社是や経営理念は、会社や社員が歩んで行く道筋、方向性を示すものであり、経営方針や経営計画につながります。
経営方針や経営計画から品質方針や品質計画への展開は、次の様になります。
- 社長は、経営方針や経営計画から、ISOの品質方針と品質目標を定めます。
全社の品質方針と品質目標を部署に展開します。
- 営業、技術、購買、製造、品証や管理部署は、会社の品質目標を達成するために、各部署の品質目標を立て、品質目標実施計画を作成します。
例えば、営業なら顧客満足は営業予算を目標にします。
- 営業の部署長は、目標達成に必要な力量の評価項目を設定し、メンバーの力量を評価します。
- 各メンバーの力量のうち、今期伸ばす力量項目を定め、必要な教育・訓練計画を立てます。
こうして今期の活動が始まります。
- 品質目標の進捗状況については、四半期毎にISO管理責任者に報告します。
- ISO管理責任者は、各部署の品質目標実施計画の進捗などを適時社長に報告します。
内部監査では、業務改善を念頭に以下のことを確認します。
- 品質目標の進捗状況
- 品質マニュアルや各業務規定により仕事を回しているかの確認
- 教育・訓練の実施状況
これらに加え、次のことを探します。
- 困っていること
- 業務改善に役立つこと
期末になると、マネジメントレビューです。
- ISO管理責任者は、内部監査の結果や今期の品質目標の進捗状況については、期末にマネジメントレビューのインプット情報として、社長に報告します。
- 社長はマネジメントレビューのアウトプットとして、指示を出し次の期が始まります。
この様に、1年に1回の大きなPDCAを回します。
個人やチームの業務改善
各部署における改善は、個人で行う改善と現場やチームによる改善とがあります。
新入社員が入った時や社内異動で担当者が変わった時は、業務を見直す良い機会でもあります。
作業が標準化され、手順書通りに毎日の仕事を繰り返しているような場合には、半期毎や内部監査に合わせるなど、定期的に今やっていることを見直します。
作業手順も作っているモノも変わっていないとしても、次の様に社内外の環境が変わっていくことは珍しいことではありません。
- お客様の要求が変化する。
- 調達している材料や部品の入荷状況が変わる。
- 現場の人や場所が変わる。
例えば、現在の作業手順となっている理由が、ただ昔からそうしていることしかない場合には、一度見直してみることが必要です。
業務改善に取り組んだり、作業手順を見直す際には、QCDや4Mや3Hの視点で見直します。
- QCD:品質(Quality)、原価(Cost)、納期(Delivery)
- 4M:ヒト(Man)、モノ(Material)、設備(Machine)、方法(Method)
- 3H:初めて、変更、久しぶり
仕事は1人ではできないからこそプロセスアプローチ
プロセスアプローチは、工程へのインプットとアウトプットを明確にして、工程で品質を管理するという考え方です。
1つの製品は、多くの人や作業工程の結果(成果物)です。一般に、モノづくりには、社内だけでなく、お客様や協力会社なども関わっています。
複数の人が関わるのがモノづくり、各工程で確実に満点を取る事が必要で、満点を取れるように教育・訓練を行います。
例えば、自分で考えたやり方の方が時間短縮になるとしても、作業のやり方を個人で変えてはいけないのです。
まとめ
モノづくりメーカーの新メンバーとして仲間に加わると、新入社員研修を受けます。新入社員計画の内容や進め方は、それこそ会社により様々です。
モノづくりと言えば改善(KAIZEN)が不可欠です。
ここでは、品質マネジメントシステムの7原則、ISO(品質マネジメントシステム)による全社及び現場での業務改善、PDCAやプロセスアプローチについて以下の項目で説明しました。
- 何のための業務改善
- 会社全体の改善とは
- 個人やチームの業務改善
- 仕事は1人ではできないからこそプロセスアプローチ