ISO9001:2026版のFDISが承認され2026年9月に発行予定となりました。
日本語版になるJISQ9001:2026版は、2026年12月に発行されるようです。
品質マニュアルと規定類の改訂作業は、JIS版の発行を待ってから対応予定ですが、大幅な変更はないといいつつ、FDIS版の情報を見ていても思っていた以上に手強いと感じています。
そこで、FDIS版の情報が前提となりますが、2026年末のJISQ9001:2026版発行までの事前準備を含め2015年版の品質マニュアルと規定類の改訂の進め方について説明します。
ISO9001:2026年版気になる言葉
ISO9001:2026版で気になるキーワードは、次の通りです。
- 気候変動
- 文書管理
- 品質文化と倫理的行動
- リスクと機会(チャンス)
各キーワードへの対応について説明します。
気候変動に関する対応
気候変動の対応は、認証維持している組織ではすでに対応済みですし、気候変動による自社への影響は間接的には以前から考慮されていると思われますので、対応は難しくありません。
文書管理に関する対応
文書管理は、言葉(文言)の違いであり、文書や記録を使いたい人が利用できるように管理することは、文書管理の基本です。
2026年版になったから新たに要求されるようになったことではありませんし、何か特別な、あるいは、新たなことをしなければいけないこともありません。

DX推進の1つとして、文書の電子化(PDF化)が目的としているような状態であると、文書を利用できるといっても、リストで簡単に探せるレベルからたくさんのPDFの中から探せばあるというレベルまで幅広いと思われます。

審査や内部監査で、提示を求めた文書を素早く提示できなくても不適合にはなりませんが、「利用可能か?」の判断基準は、内部監査員には具体例で事前説明が必要だと考えています。
品質文化と倫理的行動
品質文化と倫理的行動は、品質マネジメントシステムにどのように取り込むかは、組織の状況により違ってきます。
品質文化について品質マニュアルや規定類に盛り込む際には、具体的にどうするかを社長の視点と社員の視点の両方のバランスを取りながら文書化(言語化)することがポイントだと考えています。
企業理念と品質方針・品質目標とのつながりの中に、品質文化をどのように取り込むか、表現するかということです。
品質文化が自社にとってどのような意味合いなのかを文書化(言語化)することが必要になります。
倫理的行動については、服務規程やガバナンスにも関連しますが、品質マネジメントシステムの中では、品質マニュアルや関連規定類、日々の業務を通じて、具体的にどのように取り組んでいるのかを文書化(言語化)することが必要になります。

内部監査員には、品質文化や倫理的行動としてどのような取り組みをしているかヒアリングすることは求める考えですが、内部監査員の事前教育は必要だと考えています。

部署の品質目標に、品質文化や倫理的行動を取り込むのは、部署長の力量に依存してしまいますので、内部監査責任者としては悩ましい命題の1つになりそうです。
リスクと機会(チャンス)
リスクと機会(チャンス)は、表裏の関係として扱うのではなく、分けて扱います。
マネジメントレビューのインプット情報だけでなく、各部署でどのように取り組むかを明確にしていく必要があります。

ISO9001:2026年版に移行する前から、内部監査の場を利用してリストと機会(チャンス)を分けてヒアリングをするなどして、部署長の理解を助けることも必要になると考えています。
2026年版改訂のための事前準備
ここまで説明してきたISO9001:2026版で気になる以下のキーワードにどのように対応するかの1案を説明します。
気候変動
気候変動に関する要求事項をどのように対応するかは、品質マニュアルに明記します。
気候変動という言葉は直接使っていなくても、気候変動による間接的な影響については以前から受けているし考慮もしているので特別な対応は不要と考えています。
文書管理
品質マニュアルや文書管理規定の文言の修正をするかどうかは実情に合わせ判断すればよいと考えています。
最近(3年程度)文書類の電子化を進めているような場合には、利用可能とはどのような状態をさすのか事前に検討しておくことをお勧めします。
品質文化と倫理的行動
品質文化と倫理的行動は、言葉の意味そのものも一般的には難しく、組織によっても、人によっても具体的に説明するのが難しいと考えています。
そこで、「QMS組織・職務規定」を新規に作成して、企業理念や品質方針・品質目標などとあわせて、組織にとっての品質文化と倫理的行動を文書化(言語化)した方がよいと考えています。
内部監査では、部署長の考える品質文化や倫理的行動をヒアリングすればよいと考えています。
しかし、組織(会社)としての品質文化や倫理的行動と方向性が一致していることを求められているように受け止めていますので、組織としての言葉の定義(説明)は必要だと考えています。
リスクと機会(チャンス)
リスクと機会(チャンス)は、マネジメントレビューのインプット情報では明確に分ける必要があります。
また、ISO9001:2015版のマネジメントレビューとの違いを明確にすることも必要です。
管理責任者に変更はないとしても、ISO審査で何が違うか説明するためにも「マネジメントレビュー実施規定」はあったほうが便利というか、必要だと考え新規に作成し他方がよいと考えています。

内部監査とマネジメントレビューと不具合対応の実務を実質1人で対応していると必要ない規定だと思いますが、引継ぎを考えると必須になると考えています。
2026年版改訂作業に合わせてやりたいこと
ISO9001:2026年版は、2015年版から10年の時を超えての改訂です。
10年間という時間の経過は社内外の変化も大きいため、
これまでの10年を振り返った全体的な見直しと簡素化
に加え、
これからの10年をはじめる品質マネジメントシステムの見直し
にもよい機会であると考えています。
一度作ったルールを大幅に見直すことは大変なことですし、ルールを簡素化することも簡単なことではないようです。

ISO9001:2026が9月に発行されてから3年間の猶予期間をうまく利用して、これまでを振り返り、これからの10年のための品質マネジメントシステムについて考えてみてはいかがでしょうか?
まとめ
ISO9001:2026版のFDISが承認され2026年9月に発行予定となりました。
日本語版になるJISQ9001:2026版は、2026年12月に発行されるようです。
ISO9001:2026版に大幅な変更はないと言われていますが、FDIS版の情報で品質マニュアルと規定類の改訂をシミュレーションしてみると意外に手強いと感じています。
ここでは、FDIS版の情報を前提として、2026年末のJISQ9001:2026版発行までの事前準備を含め2015年版の品質マニュアルと規定類の改訂の進め方について、以下の項目で説明しました。
- ISO9001:2026年版気になる言葉
- 気候変動に関する対応
- 文書管理に関する対応
- 品質文化と倫理的行動
- リスクと機会(チャンス)
- 2026年版改訂のための事前準備
- 気候変動
- 文書管理
- 品質文化と倫理的行動
- リスクと機会(チャンス)
- 2026年版改訂作業に合わせてやりたいこと
